キャスティングで狙うクロマグロ
非常にエキサイティングな釣りだが、ここ久六島も年々その魚の数は減ってきている。
にも関わらず最近、遊漁でのマグロのキャッチ率はだいぶ上がってきた。
それには勿論道具や釣り人のレベルアップもあるわけだが、職漁船も多いこのフィールドで我々が快適に釣りが出来るようになったのは、加藤船長のようなこの釣りに理解のある方々の日頃の努力の賜物であると思い感謝している。
いつまでもキャスティングでマグロが狙える海であればと願っています。
3時間半くらい経過した頃。
個人的には一番苦しい時間を乗り切り力も戻ってきた。この頃からかなり近い距離でのやり取りが頻繁になってきたのでイケるような気がしていた。と同時に、どうしても浮かせる為には船長のサポートが必要なので、ラインの動きが目で追える夕方までに上げなければと、焦りも感じながらやっていた。
鈴木氏との釣行2日目。この日はトローリング船が多く、このように良いナブラが沸いても漁船とのトラブルを避ける為、投げずに様子を見守りながら、チャンスが廻ってくるのを待つしかなかった。
しかし、マグロ釣りにおいてこのようなナブラに出会えるのは1日に1回あるかないかといったところである。
バウデッキでマグロを探す鈴木文雄氏
今回はマグロを上げることはできなかったが、また来年挑戦しにくると誓い能代を後にした。
氏のつくるクロマグロ用タックルにも今後期待したい。
いつくるかわからない大物ではあるが、マグロの場合ちょっとデカイと人間にとっては相当デカイサイズとなる。正直キャスティングタックルで大物を捕るには限界があると思うが、100キロは一つの夢である。その半分でも大変ですが・・・
とにかく、皆さん!体だけは鍛えておきましょう!
途中、こまめに給水を取る。仲間のサポートがなければ長時間のやり取りは出来なかった。
やり取りを開始して2時間を越えた辺りから意識がもうろうとしてきた。
相手は全然弱った感じがしない。恐怖である。
2日目のナブラも、初日のような巨大マグロこそ目にはしなかったが平均してサイズはデカく中には50キロを超えているようなものも跳ねていた。
2004年夏、久六島は連日このようなナブラに沸いた。
8/5釣行2日目のナブラ
最後の最後にこのナブラが出た。約10分程打ったがマグロはヒットせず午後1時を回った。久六島でのマグロ釣りは遊漁船が午前7時〜午後1時迄と決めてあるため、貸切状態のナブラに後ろ髪を引かれながら久六島を後にした。
この日初めてのボイルにロッドを持って戦闘体勢に入る。
11時頃ようやく待ちに待った1回目のキャスティングチャンスがやってくる!
10時を過ぎても沸きが無く、全員無言でマグロを探す。
朝イチは、マグロの気配が無く、ジギングからのスタートとなった。
絶対貰った!と思ったのだが、何が悪いのか?誰一人としてこのナブラで掛けたものは居なかった・・・。
終了10分前、最後の最後に最高のナブラが我々の前に姿を現わす!
約4時間が経過し日も傾いてきた時、とうとうバレてしまった。残り30mを切っていたのだが・・・。バレる数分前の写真
翌朝、気分も新たにして久六島を望む。
直下でのやり取り。
大型のマグロの場合、残り数十m迄来てからの、ここからが本当の勝負である。
前回の反省を活かし、船長には常時後ろについて貰ってのやり取り。このときは鈴木文雄氏にも隣でアドバイスを頂きながらで心強かったのだが・・・
私のファイトシーン。
丁度、ファーストランに耐えているところ。この後、ハーネスを装着し4時間闘った!
この日最初のアタリは、鈴木文雄氏にあった。これもかなりの大物だったと推測されたが、ファーストランでラインブレークしてしまった。(写真中央が鈴木氏)
この日のナブラは推定30キロ以上はあろうかというマグロが大半を占め、中には明らかに100キロを超す魚体も乱舞していた。
 大物への道は遠く・・・

 毎年、すっかり恒例というか、最近では僕のライフワーク?のようにもなってしまったクロマグロを狙っての能代通いが今年も始まった。
すでに今年も6回釣行して最初の3回は全く沸かないか、たまに小さくは沸くもののキャストチャンス到来とまで行かないうちに消滅するナブラで終わり、暇つぶしにジギングをしてもホッケのみという感じで終わった。7月後半になると、ようやくドキドキするようなナブラにテンションも上がって来た。そして8月1日にようやく今年最初の1本をかけた。
この日も常宿のくろまつ丸にて出船。まず朝イチで島の近くで潮目に浮く流木を発見。それに付く小魚にボイルする魚を見つけた為、シイラかとは思いつつも投げる準備をした。すると小さいがマグロがそこで跳ね出し、みんな一斉にナブラに向かいキャストを始めた。しかしながらここではノーヒット。マグロはどこかへと行ってしまった・・・。
それからしばらくナブラを探しながらクルージングをしていると前方で突然広範囲にマグロがボイルを始めた!しかも型は大きく、今期最大級の大ナブラだ!船長もいったんは、全速で船をナブラへと向けたが先に漁師の船が向かっていたのに気付いたようで、船を減速させナブラの動きを見ることにしたようだった。すると上手い具合にナブラが二つに割れ一つのナブラが貸切状態となった、再び船はナブラへと突進!いい感じでスィートスポットへと近寄って行った。
そして迷わず全員がキャストした。私もここぞとばかりに投げたが1投目はややイメージした場所と違った為、即回収し投げ直した。今度は決まった!絶対食う!と思った瞬間にもうラインが走り出していた。合わせを入れると魚は一気に走り出した。50〜60m走ったところで一瞬走りが止まった。ヨッシャ!と思い、巻きに入ろうとした瞬間、また素晴らしい勢いで走りだした。今度もさらに同じ位ラインが出されて合計100m以上出されたところで走りが止まった。その間に沸いていたナブラも遠ざかり船も私のサポートに回る準備ができた。船長がリモコンを使い、魚の方向にゆっくり船を向けてくれた。最初のうちはある程度巻けたが魚との角度が無くなり魚が船の下の方へ入ってくると案の定凄い重みがロッドへと乗ってきた。これはデカイと思った。正直、そのとき使っていたロッドでは最後のツメに持っていくまでにどれだけの時間がかかるか?そして、ツメの段階にきた時にリフティングできるか不安がよぎった。実はこのとき使っていたロッドは一応マグロ用に準備したロッドではあるが、この日準備した3タックルの中では一番ライトな物で、逆風時や軽めのルアーを投げる時のために、多少パワーは落ちるが飛距離を優先に考えて用意したロッドだった。とは言え例年のレギュラーサイズ(10〜30キロクラス)なら全然余裕なのだが、とにかく今かかっている魚はそんなもんじゃないと思った。のんびりやろうとも思ったが、タックルにかかる負担を考えると長時間は耐えられないと判断し、なるべく早く決着をつけてやろうと思いやり取りを始めた。
しかし、物が大きいだけにそうやすやすとことが運ぶ訳もなく、巻いては出されての状態がしばらく続いた。そんな中、ひときわ大きな突込みがあったときに体勢の悪かった私を心配してくれた船長からの指示で、「腰に巻いているウェストベルトを誰か掴んで後ろから支えてやるように!」との指示が飛び、誰かが後ろからベルトを引っ張ってくれた。その時だった。後ろから引っ張られた瞬間に腰から背中にかけてビリッ!と電気が走ったような痛みが伝わった。笑っちゃう話だがマグロとのファイト中にギックリ腰である!腰を持たれた瞬間は「余計な事すんなー!」と思わず言うかと思ったが、もうその瞬間から自分の力で立っていることが出来なくなり、逆に「そのまま持ってて〜」と情けない声でお願いしてしまった。それからは大変で常に私のやり取りに合わせて両脇から二人がかりで支えてもらう形になってしまった。そんなこともあったが、30分程のやり取りでマグロがようやく見える所まで上がってきた。かなりデカイ!しかしここからがほんとのやり取りである。思った通り魚は見えるがロッドのパワーが足りず、なかなかマグロがいうことを聞いてくれない。しかも船長からの指示でランディングに備えて船の胴中に移動するようにとのことで腰をかばいながらも胴中へ移動したのだが、直下で回りながら泳ぐマグロに対し、かっ込まれれば腰にくるし、船べりを意識しながらのポンピングがこれまた辛くでバウデッキの時と同じようにはなかなか魚をコントロール出来ない。そのうちに握力も消耗してきた。しかし最短で10mを切る位までも何回か浮いてきてのやり取りに仲間からも激が飛び、再度気合を入れなおした。
そしてヒットから約1時間にして、やっと1回目のランディングチャンスがやってきた。船長が去年まで無かった長い棒の先にモリをセットして隣に立ち、もう一人がギャフを構える。そして、残り数メートル入ったらモリが打てるというところまできた。
が、人影を見て驚いたのか、今までに無いくらいの勢いで一気にマグロが走り出した。途中、尾に絡みながらもその一走りでラインは60m位出されてしまった。普通の魚なら水面迄来た魚があそこまで引くことはあり得ないが、クロマグロだけは別格である。
船長からまた前に戻ってやり取りするように指示されバウデッキに戻ってやり取りを始めた。周りからは「また1時間か〜」とか「最初からやり直しだ〜」の声が上がる。みんなに悪いなぁ〜と思いながらも気を取り直してやり取りを開始する。今まで胴中で苦労してやり取りをしていた分、リフティングがかなり楽に感じた。
10分か15分程のやり取りで残り30m位までつめた時また相手が走った。またか〜と思いながら耐えていると、また尻尾に絡んだようで激しい振動が伝わってくる。しかし20m位出されたところで動きが止まる。こっちも巻き始めてみるが何か急に巻きやすくなったように感じた。とにかく先程より楽に巻けるのでひたすら巻けるところまでポンピングしながら巻いてみると重いのは確かだが確実にポンピングが出来る。
そのうちに魚がスーッと浮いてきた!しかもさっきまでと違って回ってない!良く見ると尻尾から上がってくるではないか!後方にいた船長に「浮いたっ!」というと「ウソ?」と返される。サポートに付いていたメンバー以外もどうせしばらくかかると思い、みんな一服している。慌てて船長がモリを取りに走る。その時、私の目の前には、少な目にみても50kgはあろうか?今まで見たことが無いくらい大きなマグロが血を吐きながら半ば気絶しているような感じで浮いていた。
一体なんでそんな急に魚が浮いたか?考えてみたのだが、恐らく最後に突っ込んだときリーダーが尻尾に絡み、走りが止まったときに絡んだままの状態のところを私がポンピングし始めたので、それが魚に大きなダメージを与えてしまったのだろう。そこからは一気にリフトできた訳である。最初のランディングチャンスの時とは違いもう相手は虫の息である。思わずヤッター!と思ってしまった。
船長がモリを持って戻って来た。船長にモリ打ちをお願いする。しかし、斜め後ろに構え立つ船長にはマグロの姿が良く見えないという。さっきモリを取りに船長が行っているうちに船が流され魚が船底側にかっ込む格好になった。それにプラスして急に浮いたマグロに全員目が行ってしまい、バウデッキに必要以上に人が乗ってしまいモリを打つ船長の機動力を奪ってしまっていた。振り向くと船を立て直そうと慌てた船長がモリを置いてリモコンを取りにもどってしまった。
一変して状況が不利になり今度は泳がないが沈みかけるマグロと風に流される中、立て直そうとする船の間で引っ張りッコする状態になってしまった。と、次の瞬間、口から針が外れ尻尾に絡んでいたリーダーもむなしくも解けてしまった。
あ〜・・・・その瞬間は、他に何も言葉も出ず、その場にヘタリ込んでしまった。あとは、マグロが白い腹を上にしてゆっくりゆっくり沈んで行くのを仲間数名と無言で見送るだけであった。
残念・・・ついてなかったと言えばそれまでだが、一瞬、浮いた魚に油断した私に敗因があったと思った。大物への道は遠いのである。

3日後再び・・・
 大物をバラしてしまった日、私は腰の状態が悪く一人ではとても歩けない程の状態になってしまった。
翌日、何とか歩く位は出来る状態に迄回復したが、しゃがんだり、椅子に腰掛けたりという動作すら出来ない感じであった。
しかし2日後にまた久六島への釣行が控えていたため、薬局へと走り腰用のサポーターとシップとテーピングを買って来て、それらで腰をグルグル巻きにし、後は痛みが引くことを祈った。
翌日8月3日、釣行日前日ではあるが、今回、石垣島から一緒に同行して頂くフィッシャーマン社・社長の鈴木文雄氏と待ち合わせの為、昼頃仙台を出発し秋田へと向かった。
今回は鈴木氏との釣行風景の撮影やランディングのサポート等を円滑に進める為に、塩釜でルアー船のガイドをやっている翔英丸の船長、佐藤英治君に同行してもらった。彼は私のよき釣りのパートナーで、彼と釣行すると何故かマグロに良く当たる!というジンクスもある。しかも、秋田迄の運転もしてもらい、それにより腰への余計な負担もかなり減って、大助かりであった。この日は夕方、秋田の空港で鈴木氏と合流し早めに宿で休むこととした。
翌朝、港で残りの釣行メンバーと合流する。1日目のメンバーは私と鈴木氏の他、神奈川から佐藤氏、仙台から樋口氏の計4人である。佐藤氏は鈴木氏と国内外問わず釣り歩くベテランフィシャーマンで、樋口氏はジギング入門者ではあるがなかなかのガッツマンで久六島のマグロは当日がデビューであった。この日は凪もなかなか良く、遠方から鈴木氏や佐藤氏に来て頂いていたのでひとまず安心した。私の腰もサポーターとテーピングで完全に固定しとりあえずは何とかなりそうに感じた。
7時に島付近に到着ししばらくはクルージングをしながらマグロを探すがこの日はなかなか気配が感じられなかった。とりあえずジギングをして様子を見ることとした。しかし、今年の久六島はこの時点でマグロ以外の反応はイマイチで、ジギングではこないだ迄ホッケばかりが釣れ、8月に入ってホッケこそ居なくなったが、例年良く釣れるヒラマサやイナダ等はさっぱりで、この日も例外ではなかった。2時間程ジギングをしたが数匹のソイとアイナメをキャッチしただけに終わった。
実は今回の釣行に合わせ鈴木氏は数本のマグロ用キャスティングロッドを用意して来られた。これらは以前私自身が求めるようなマグロ用キャスティングロッドが現時点でどこのメーカーからも発売されて無い(マグロ用ロッドは色々ありますが、あくまでも私の好みに合うロッドが無い)との趣旨を同氏に説明し、その上でどのようなものが欲しいか要望を出しておいたところ、大雑把な説明であったにも関わらず、「今度行くまでに作っておくよ!」との言葉通り数本のテストロッドを作ってきてくれた。しかも完成度はなかなかである。この日はジギングをしてもなかなか魚が顔を見せてもくれないので、その合間にそれらのロッドの感触を実際にキャスティング等をして確かめさせて貰った。
そんなことをしているうちに時計は10時を回っていた。魚っ気の無さに嫌気が差したのか朝のうちトローリングをしていた漁師も次第に居なくなりウチらの他は漁師が一艘だけとなった。何となくあきらめムードになってきたが、鳥が数羽固まって飛んでいるのを船長が見つけた。しばらくその先の様子をうかがっていると、マグロが数匹ボイルし始めた。この日初めてのマグロに全員気合が入り顔つきが変わったようだった。しかし、なかなかキャストするには至らず時間だけが過ぎて行った。
そのまま数十分ナブラを見守るっているとようやく1発目のキャスティングチャンスが到来した。まず、鈴木氏にヒット!さすがである。しかしこれは、あえなくラインブレークした。結構いいサイズであったと思う。それから数回チャンスが続くが今度はなかなか食わない・・。しかし、数回ルアー等を交換しながらキャストを続けていると今度は佐藤氏にヒット!しかし、これも残念、ファーストランの最中にフックアウトしてしまった。その間も私の投げるルアーも何度となくいい場所に決まったがなかなか食わず私自身も内心少し焦っていた。マグロのナブラも潰れては沸きを繰り返していたので、段々にプレッシャーも入りばらけても来ていた。
もうちょっと時合いが続けば良いが・・・と思っていたお昼ちょっと前、目の前に比較的いい感じでナブラが沸いた。そのナブラは二つに分かれ、うち一つが更に分かれかけ始めてはいたが船がいいポジションに入った為、イチかバチか投げて見た。
すると一発で当った!すかさず合わせると重い走りでグイグイと引っ張って行く。まだどの位のサイズかはわからないが、漠然と大きい!というのはわかった。最初に走らせるだけ走らせると220〜230m位出された。船で追いかけながらやり取りに入るが100m程回収し残り130m位迄来ると異様に重くなりやり取りがかなりしんどくなる。この辺でこないだの魚よりだいぶ大きいのでは?という感じになってきた。だいぶ時間がかかりそうということで鈴木氏が持参したハーネスをここでつけてもらう。元々腰に着けて置いたフィッシャーマンドッグハーネスビッグゲームにスピニングハーネスをセットし更にブルーフィンハーネスもセットされ4点張りにしてもらいこれでかなり楽になった。
しかし大変なのはこれからだった。ちなみに跳ねる割になかなかルアーを食ってくれなかったことからルアーサイズをダウンさせそれに合わせて、3日前と全て一緒のタックルで掛けてしまった。(つまりマグロ用としては結構ライト目なタックル)
やはり真下に来てからはリフティングパワーにかけるので距離が詰まってくると重すぎて何も出来なくなるような辛い時間が続いた。それでもハーネスを着けていることから、魚が上手く動いてくれた時には思いきって巻くことができた。
約2時間やり取りを続けた時、下にいた魚が大きく前に動き出しその瞬間、グッと海面近くにマグロが見えた!大きさは判らないが黒くゆったり動く魚体があたかも先頭で船を誘導するかのように悠々と泳いでいた。鈴木氏や船長、英治君らがランディングの手順を打ち合わせする。一応写るかどうかわからないが英治君に海中のマグロを撮って貰うがさすがに何も写らなかった。一瞬ここで決着が付けられるかと頭によぎったが、やはり甘かった。そこからもう一踏ん張り巻こうかとポンピングを入れた瞬間、また一気に走り出した!あっという間に150m以上持っていかれてしまった・・・。またやり直しである。
ここからのやり取りは本当にしんどくハーネスにかかる重みに体は千切れそうになり、足にかかる負担も相当でバウデッキを突き抜けるようにも感じた。オマケに30度を超える暑さでこの頃になると意識が段々遠くなり、鈴木氏や船長に気合を入れられる場面もあった。本当にマグロという魚に、そして先の見えない戦いに恐怖を覚えた瞬間でもあった。
そんなやり取りも3時間を超えた辺りから段々私の調子が良くなってきた。と言っても決して楽ではなかったが、日が段々傾いてきて日差しも弱くなってきたことと魚の動きに合わせて鈴木氏が的確にアドバイスを下さり、それによって少しずつではあるが、確実に近いところでやり取りができるようになってきたことで気がかなり楽になってきていた。
ちなみにこの頃は残り40m〜120mの間を何十回とラインが行き来していた。前の日巻いたばかりの新品ラインはすっかり色が落ち、色は粉のようになって飛び散りリールのスプールは真っ赤を超えて真っ黒になり、リールのアームはガクガクになり、手で押さえて置かないとラインがローラーから外れそうになる状態に迄なっており注意しておかないといつラインが切れてもおかしくない状況でもあった。
そして、遂に4時間を経過した。この頃から残り20〜30mのカラーが頻繁にリールに入るようになってきた。ヨシッ!日が沈むまでに何とかなるぞ!と思いやる気が沸いてきた。鈴木氏からもマグロの動きが変わってきたと声がかかる。更に気温も涼しくなり私には追い風が吹いてきたように思えた。
残り2色、もう走るなよ!と思った瞬間に、ズルッという感触が伝わった。エッ!・・・またやってしまった・・・。
リールを巻きルアーを回収してみるとリアフックに白いマグロの口部の一部と思われる皮が付いていた。3日前に続きまたバラしてしまった訳だが、今回は何故かあまり悔しさは残らなかった。むしろ何かホッとしたといった感じであった。本音をいえばそりゃ捕りたかったのだが妙にすがすがしかった。
後々振り返ると今回はこれで良かったのかなぁとも思えた。ここに来て2匹立て続けにバラした。アングラーにとって逃げた魚の話は恥じであり最低の事である。にもかかわらず格好よく言い過ぎかもしれないが、このバラシの経験が私の中でクロマグロ釣りに対する緻密さやその他の足りない部分を露呈することになり、それが何か判ったような気がした。
私はここ数年クロマグロのキャスティングゲームに夢中になってそれなりにやってきたつもりでいたが、正直、小型は捕っても大型と言って良いサイズを捕ったことはここまで無い。というか掛けても勝負して貰えない時が多かった。それが昨年くらいから今回まで掛けてから何回かまともに勝負して貰えるようになった。当然、それまでにも思考錯誤があって私自身や周囲に進化があったからこそそこまではステップアップしてきた訳だが、それから先は長時間のファイトを何回かやってきて、そこで初めて、クロマグロ釣りには掛けてからの準備の大切さ(道具の性能、強度、耐久性、釣り人の体力、技術、取り込む為の道具、取り込みの段取りetc)があり、それらが全て揃っていて始めて大物が捕れるんだと気づかされたような気がする。だからこそ、準備がまだまだ不十分であった今回は一見惜しかったような気もするが、個人的にはバラす要因がそれぞれにあったと考え未熟者の私には早すぎる一匹と素直に受け止めることができた。
ほんと中途半端が一つでもあっては大きなマグロは捕れないんだと思ったわけである。
因みに宿に戻り英治君とリーダーをチェックして見るとルアーから1.7m程のところから先が真っ白くなりザラザラになっていた。恐らくやり取り中何度となく尾にリーダーが絡んだのでそれがその位置だったのだと思う。それから推測すると私がターゲットと考える大きさを遥かに超えるサイズだったことは間違いない。そう考えるとあの時のタックルであのままやっていてもランディングまで持ち込めたかは怪しかったし、あれが限界だったと割り切れる気持ちにもなった。

一夜明けて・・・
4時間のやり取りをした12時間後の翌朝、鈴木氏との2日目の釣行を迎えていた。笑っちゃう話だが昨日4時間マグロとファイトしていたら、いつの間にか、前日迄あれだけひどかった腰の痛みが何処かへ飛んでいってしまっていた。
この日も7時に久六島海域に到着しマグロ探しをスタートする。海は超ベタ凪で天気も快晴である。
朝イチ、とりあえずジギングをしながら様子をみるが、なかなかマグロの姿は見えない。前日同様10時を過ぎたあたりからマグロが跳ね出した。ところがこの日は漁師の船が多く、トローリング船団にナブラを囲まれている為、我々に迄なかなかチャンスが回ってこない。しばらく離れて状況を見守ったがよくならなかったので、船長の判断で違う場所で沸くことを期待してその場を離れた。
その後はジギングをするのもやめて、全員でマグロを探したがなかなか魚はみつからなかった。
そうこうしてるうちに時計は正午を回っていた。終了時間が近づき、メンバーの顔色も次第に険しくなっていたそのとき、またもや大きなナブラが我々の目の前に出現した。船長の読み通りである!
急いでそちらに向かったが、さすがに漁師も見つけるのが早く、こちらの方が早く着いたようにも思えたが船長判断で一度その場は漁師に譲った。
しかしその後ナブラはばらけて数箇所で沸き何回かキャストすることが出来たがプレッシャーも高く長続きはしなかった。そして、あきらめかけてた終了10分前、絶好のナブラが私たちの前で沸いた!また今日も食うのか・・・?全身に鳥肌が立つのを感じながら夢中でキャストをした。マグロがラインにバチバチ当るのを感じる位迄ひしめき合いながら船のほうに向かって突進してくるありさまである。キャストする度に貰った!と誰しもが感じるほどの凄さだった。
しかし、今日は何かが違かった。全く食わないのである。そうこうしてるうちにあえなく午後1時になりタイムアップとなってしまった。我々がナブラから離れると同時に、数隻の漁船が待ってましたとばかりにナブラに向かって突進していった。レギュレーションだからしょうがないとはわかっているが、素晴らしいナブラに後ろ髪を引かれながらの帰港となった。

来年こそ・・・
この数日の久六島は本当に凄かった。統計的にみても例年この時期は一番良い時期とされてはいるが、今回は鈴木氏が来て下さるということで、天候もさることながら、日ムラがある釣りなだけに沸かなかったらどうしようとそればかりを一番気にしていたのだが、ナイスなタイミングであった。
結果こそでなかったが良い時の久六島を体験して頂き、来年こそ!とリベンジを約束して頂いた。
今回はロッド等のテストも行い、2005年には新しいクロマグロ用キャスティングロッドがフィッシャーマン社より発売されることになっている。今回のテストの後に更に私個人の要望も取り入れて頂き9月には第1弾のロッドが最終型で私の手元に出来上がってくるということで、ベストシーズンからは幾分ずれるが残されたチャンスでそのロッドを使い結果が出せたらと思っている。
また、今回使用した同社のスピニングハーネスやドッグハーネス、フラットハーネス等もクロマグロのキャスティングゲームには欠かせないアイテムである。これらを上手く使いこなせば、長時間苦痛に耐えることもあるこの釣りにおいてそれらをかなり解消することもできるし、より短時間で釣り上げる事もできるはずであり、マグロをやっている方でこれらを使ったことの無い方にはぜひお薦めしたい品々である。
また、その他にもこれから開発され発売されてくるであろう同社製品には注目である!

船長に感謝!
私もキャスティングで大きなマグロが釣りたくてシーズンになると毎週のように片道300キロ以上の道のりを車を飛ばし通っているのだが、何故そこまでして能代に通っているかというと、久六島というフィールドへの魅力、憧れもさることながら、クロマグロというある種特別な魚を狙う釣りにおいて、信頼できる船長がそこにいるからで、そして通い詰めてお互いを理解し船長との呼吸が合わないとなかなか釣れる魚では無いと思うからであり、私の場合、能代のくろまつ丸がそうであるからである。
マグロに限ったことではないが、やはり船釣りの基本は船長を知れ!船長を釣れ!である。それにはやはり自分にあった船を見つけ、とことん通ってみることが必要である。
能代におけるマグロのキャスティングゲームにおいて、くろまつ丸の加藤船長の功績は非常に大きいものであると思う。氏にこんな事を言ったら怒られてしまうが、氏の時にユニークで時に奇抜な提案に、私自身、時に・・・となってしまうときもあるし色々反論の声が聞こえてきたりもする。よく通っている私に対し異議を唱えてくる方もいるが、時にはそういうこともあるかもしれないがそれも含めて氏の考えに賛同し私は通っている。
以前に比べれば久六島でのマグロ釣りもだいぶし易くなった。この影に氏の影響力、努力があると思い私は感謝している。

最後に・・・
今回は、魚も釣れなかったにも関わらずついついエキサイトして長くなってしまいました。でも、この数日間は本当に興奮した数日間でした。
最後に・・、クロマグロはホントに凄いです!皆さん体を鍛えましょう!

久六島のクロマグロ 2004.8月上旬